70万人の「疑い」──ギャンブル依存症対策基本法は何を変えたのか

70万人の「疑い」──ギャンブル依存症対策基本法は何を変えたのか

ラクパチ編集部|8分

パチンコ・パチスロを語るとき、避けて通れないのがのめり込み(依存)の問題です。感情論になりがちなテーマですが、ここでは公的なデータを軸に、冷静に現実を見ていきます。

依存を「病気」と決めつけるのでも、「自己責任」で切り捨てるのでもなく、事実として何が分かっているのか。制度と統計から検証します。

「遊技」を依存対策の対象に含めた基本法

大きな転機は2018年でした。この年、ギャンブル等依存症対策基本法が成立・施行されます。

パチンコは、法律上は「賭博」ではなく「遊技」とされています(なぜ賭博罪にならないのか参照)。にもかかわらず、この基本法は法律名の「等」にパチンコを含めた。つまり「賭博ではない遊技」であるパチンコを、依存対策の対象として正面から位置づけたわけです。これは制度上、画期的なことでした。

統計:どれくらいの人が「疑い」に該当するのか

では、実際にどれくらいの人がのめり込みのリスクを抱えているのか。公的な調査があります。

国の医療機関による調査では、ギャンブル等の依存が「疑われる者」は成人のおよそ0.8%(人数にして約70万人規模)とされ、その多くがパチンコ・パチスロに関連するという結果が示されてきました。近年の調査でも、依存の傾向を測る指標で一定割合の該当者がいることが報告されています。

70万人という数字は、決して小さくありません。「一部の意志の弱い人の問題」で片付けられる規模ではない——これが、データが示す出発点です。

※有病率の数値は調査年・調査手法(PGSIなどの指標)によって異なります。最新の数字は、その時点の公的調査でご確認ください。

対策は打たれている。ただし実効性には議論がある

基本法の成立を受けて、業界も対策を進めてきました。

  • コンプリート機能(出玉の上限で強制終了)
  • 自己申告・家族申告による入店制限のプログラム
  • 出玉性能の規制

ただし、これらの実効性には議論があります。 たとえばコンプリート機能は、その実効性の検証記事で見たとおり、大半の人が一生発動を見ないほど"ゆるい"上限に設定されている。「対策をしている」という事実と、「実際に効いている」かどうかは、分けて考える必要があります。

「病気なのか」という問い

依存を語るとき、しばしば「これは病気だ」という医療モデルが前面に出ます。もちろん、治療や支援が必要なケースは確実に存在します。

一方で、回復支援の現場からは、「単純な"病気論"一辺倒でいいのか」という問いかけもあります。国内には、ギャンブル依存からの回復を支える自助グループ(GAなど)や民間の回復施設が存在し、長年当事者と向き合ってきました。そうした現場からは、「病気として治す」だけでなく、生活や環境、本人の人生の立て直しという多面的な視点の重要性が指摘されています。

依存は、単純な図式で語りきれない複雑さを持っている。「病気か、意志か」の二択ではない——ここに、このテーマの難しさと奥行きがあります。

数字で自分を守るという視点

制度や統計を知ることは、他人事ではありません。のめり込みは、「自分は大丈夫」と思っている人にこそ忍び寄るからです。

だからこそ、感情ではなく数字で自分の状況を管理する習慣が効いてきます。いくら使い、いくら勝ったのか。期待値のある状況だけで打てているか。冷静な記録は、のめり込みへの一番現実的なブレーキになります。収支を数字で管理する考え方は勝っている人がやっている記録の習慣期待値プラスなのに勝てない話にまとめています。

依存の問題を、データと制度から冷静に見る。それも、この趣味と健全に付き合うための一部です。ほかの検証はパチンコ・スロット都市伝説10選からどうぞ。

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