「最近のスマスロ、荒さが足りない気がする」——そう感じている人に知っておいてほしいルールがあります。
2026年2月、業界8団体が「回胴式遊技機自主回収における申し合わせ」を承認しました。ざっくり言えば、コンプリート機能(1日の出玉上限で強制終了する機能)の発動率が高すぎる機種は、市場から回収されるという取り決めです。2026年4月1日以降に稼働を始めた機種から、すでに適用が始まっています。
法律(規則)を変えたわけではなく、業界内の自主的な申し合わせ。だからこそ表立った告知が少なく、打ち手にはほとんど知られていません。
何が決まったのか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 決めた主体 | 中古機流通協議会での業界8団体の申し合わせ |
| 承認 | 2026年2月10日(第162回協議会) |
| 適用 | 2026年4月1日以降に稼働基準日を迎えるパチスロ機から |
| 対象 | コンプリート機能の発動率が基準値を超えた機種 |
| 措置 | 自主規制違反とみなし、メーカーが市場から回収 |
| 回収条件 | メーカーが買値に約20%上乗せして買い戻すとされる |
※「稼働基準日」は先行導入を除く一般的な導入開始日を指します。既に設置済みの旧機種への遡及は想定されていません(新たに稼働を始める機種が対象)。
コンプリート機能のおさらい
スマスロには1日(正確には有利区間の連続)で差枚+19,000枚に到達すると強制的に遊技を終了させる「コンプリート機能」が搭載されています。6.5号機以降の出玉上限の仕組みで、これ自体は2022年の規則改正で導入済みのものです。
ここで今回のルールが効いてきます。コンプリート機能は「万が一の上限」として用意されたはずのものですが、その万が一が頻発する機種=設計として出しすぎているという判断になり、回収対象になりうるわけです。
分かっていないこと(重要)
このルールについて、公表されていない情報が2つあります。当サイトでは推測で数字を埋めません。
- 具体的な基準値 — 「発動率◯%以上で回収」という閾値は一次情報として公表されていません。業界コラムで数値に言及したものはありますが、公式の基準値ではありません
- 実際に回収された機種 — 2026年9月時点でも、このルールに基づいて「コンプリート発生率を理由に回収された」と報じられた機種は確認できていません
適用開始から5か月。データの評価期間(45日間とされる)、協議会の判断、ホールとの回収手続きまで考えると、実例が表に出てくるのはもう少し先になりそうです。判明しだいこの記事を更新します。
ただし「前例」はある — 2025年のLスーパービンゴネオ
このルールが整備される前にも、メーカーが個別に判断して自主回収した事例があります。
ベルコは2025年1月31日付で、パチスロ『Lスーパービンゴネオ(SB5)』の自主回収を決定しました。理由は日電協が定める自主規制に抵触することが判明したためで、日電協・全日遊連・中古機流通協議会を通じて全国のホールに回収への協力が呼びかけられています。同機は2024年12月から導入が始まり、1月31日時点で全国に約3,600台が設置されていました。
注目したいのは買い取り価格の設計です。撤去する時期によって金額が段階的に下がる形が取られました。
| 撤去時期 | 買い取り価格(1台あたり・税別) |
|---|---|
| 〜2025年5月末 | 20万円 |
| 2025年6月〜8月末 | 10万円 |
| 2025年9月〜2026年2月末 | 5万円 |
早く外すほどホールの損が小さい設計です。あわせて中古遊技機保証書の発給も停止されました。打ち手の目線で言えば、回収が決まった機種はホールから急速に姿を消すということになります。「まだ設置されているうちに打っておく」という判断が要る場面が、今後は出てくるかもしれません。
ただし、この前例と2026年4月からのルールは補償の設計が違います。新ルールではメーカーが販売価格に20%を上乗せして買い戻すと定められており、時期による逓減ではありません。前例は「個別メーカーの判断」、新ルールは「業界8団体で手続きを決めた枠組み」という違いも押さえておいてください。
打ち手にとって何が変わるのか
1. 新台の一撃性能は「抑え方向」に寄る
メーカーからすれば、コンプリート頻発機を出すことは自社の回収リスクに直結します。20%上乗せの買い戻しは相当な負担です。結果として、
- 上位ATへのルートを絞る
- 一撃の上限を意識した出玉分布にする
といった設計が自然に選ばれるようになります。「万枚は出るが滅多に出ない」という方向への調整です。荒さが減った気がするという体感は、気のせいではない可能性があります。
2. ホール側も高コンプリート機種を警戒する
回収が発生すれば、ホールは主力機を途中で失うことになります。導入判断の段階で「この機種はコンプリート率が高くないか」を気にするようになれば、尖ったスペックの機種が導入されにくくなるという二次的な影響も出ます。
3. 打ち手の立ち回りへの直接影響は小さい
とはいえ、日々の立ち回りが変わるわけではありません。天井狙い・設定狙いの期待値計算はこれまで通りです。影響が出るのは「今後の新台がどんなスペック傾向になるか」という中期的な話で、今日の1台の判断が変わるものではありません。
むしろ大事なのは、荒い台が減るほど「小さな期待値の積み上げ」の比重が上がるということです。一撃の夢が細くなる時代は、期待値をコツコツ拾って記録で管理する打ち方が相対的に強くなります。
規制の歴史のなかでの位置づけ
出玉性能への制限は、今に始まったことではありません。パチンコではMAX機が2016年までに姿を消し、パチスロも4号機から続く号機規制のたびに一撃性能を削られてきました。
今回が過去と違うのは、法律ではなく業界の自主的な申し合わせで、しかも「スペック表の数値」ではなく「市場での実績値(発動率)」を基準にしている点です。検定を通ったスペックであっても、実際に出しすぎれば回収されうる——という新しい形の縛りが加わったことになります。
まとめ
- 2026年2月、業界8団体がコンプリート発生率を基準にした自主回収の申し合わせを承認
- 2026年4月1日以降に稼働を始めた機種から適用済み。既存機への遡及はなし
- 基準値は非公開・回収実例も未確認(当サイトは推測値を掲載しません)
- 影響は「今後の新台の一撃性能が抑え方向に寄る」という中期的なもの。日々の期待値計算は変わらない
- 荒い台が減るほど、期待値の積み上げと記録管理の価値は上がる
自分の立ち回りが実力どおりの結果を出せているかは、収支の記録と期待値の突き合わせでしか分かりません。時代がどう転んでも効く土台はそこです。
