業界メディアを見ていると、「パチスロ6型式、パチンコ8型式が検定通過」のようなニュースが定期的に流れてきます。人気シリーズの名前が入っていれば「次はこれが来るのか」と気になるところです。
ただこのニュース、読み方を知らないと誤解しやすい性質があります。検定通過=発売決定ではありませんし、そもそも「適合」と「検定通過」は別の関門です。ここを整理しておくと、半年先の新台を他人より早く把握できるようになります。
台がホールに並ぶまでの2つの関門
新台がホールに設置されるまでには、性格の違う関門が2つあります。
| 段階 | 誰が | 通ると |
|---|---|---|
| ① 型式試験 | 保通協(保安通信協会)※国家公安委員会の指定試験機関 | 「適合」 |
| ② 検定 | 各都道府県の公安委員会 | 「検定通過」 |
①の型式試験は、出玉率が規定の範囲に収まっているか、乱数が不当に偏っていないかといった技術基準のチェックです。中身は保通協の試験は何を見ているのかで解剖しています。
②の検定は、適合した型式を都道府県ごとに公式に認める手続きです。検定を通って初めてホールに設置できます。
つまり「適合したらしい」と「検定通過した」では、進捗が一段違います。ニュースで見かける表現がどちらなのかを意識するだけで、機種の現在地が正しくつかめます。
機種名はどこから出てくるのか
ここが分かりにくいポイントです。
保通協が公表しているのは「数」だけで、機種名は公表されません。毎月の適合数と適合率が発表されるだけです。
では業界メディアが報じる機種名はどこから来るのか——これは各メディアの取材によるものです。だから次の特徴が出ます。
- 型式名で報じられる — 「LバジリスクⅣ」のような表記は、正式な商品名ではなく型式名であることが多い
- 発売時に名前が変わる — 型式名にサブタイトルが付いたり、まるごと変更されることもある
- メディアによって表記が揺れる — 同じ台が違う名前で報じられることがある
実例を見るのが早いです。2026年8月7日に新潟県公安委員会が公示した検定通過型式には、次の2つが含まれています。
| 型式名(公示) | メーカー | 商品名として流通している表記 |
|---|---|---|
| L/バジリスクⅣXB | アクロス | Lバジリスク-甲賀忍法帖-Ⅳ |
| eミリオンゴッド3CHB | メーシー | eミリオンゴッド3 |
「L/バジリスクⅣXB」を見て「Lバジリスク-甲賀忍法帖-Ⅳ」だと即座に分かる人はいません。末尾のXB・CHBのような記号は型式を識別するためのもので、商品名には出てきません。
もうひとつ紛らわしいのが、似た名前の別機種です。ミリオンゴッドは2025年12月に「L/ミリオンゴッド/CX」(ミズホ)が検定を通っていますが、今回の「eミリオンゴッド3CHB」はメーシーの型式で、パチンコ(e)です。シリーズ名が同じでもメーカーも遊技機の種別も違う——検定通過ニュースを追うときは、機種名だけでなくメーカー名と先頭の記号(L=スマスロ等/e=パチンコ)まで見る必要があります。
したがって、検定通過ニュースの機種名は「確定した商品名」ではないと思って見るのが正解です。当サイトが検定通過段階の機種を扱うときに正式名称を断定しないのは、この理由によります。
検定を通っても、出ない台がある
これが一番の注意点です。検定通過はホールに並ぶことを保証しません。
理由はさまざまです。メーカーが市場環境を見て投入を見送る、他機種と時期が重なるのを避けて延期する、IPの都合で調整が入る——検定を通した後にお蔵入りする型式は珍しくありません。
実際、当サイトの新台カレンダーにも検定通過済みのまま導入日が決まっていない機種が現時点で2つあります。
| 機種 | 状況 |
|---|---|
| スマスロ モンスターハンターライズ:サンブレイク(エンターライズ) | 検定通過済・今秋予定とされるが日付は未発表 |
| L東京喰種FT(エフ) | 検定通過済・導入時期未定 |
どちらも「通ってはいるが、いつ出るかは分からない」状態です。検定通過は「出る可能性が高まった」というシグナルであって、確約ではありません。
打ち手にとって、これを追う意味
では追う価値はどこにあるのか。時間の先取りです。
検定通過は、導入よりかなり手前で表に出てきます。ここを見ておくと、
- 好きなシリーズの続編が動いているかが早い段階で分かる
- 大型IPの動きから、そのメーカーが力を入れている方向が読める
- ホールの入替時期を先読みして、撤去されそうな現行機を打ち切る判断ができる
とくに3つ目は実利があります。話題の新台が大量導入される時期は、既存機が押し出される時期でもあります。「そろそろ入替が来る」と分かっていれば、慣れた台を打てるうちに打っておく、という動き方ができます。
逆に、スペックの話は検定通過段階ではほぼ出てきません。天井・純増・機械割といった数値が分かるのは導入の1〜2週間前が通例です。検定通過の時点で立ち回りが変わることはないので、期待値を追う人にとっては「カレンダーに印を付けておく」程度の付き合い方で十分です。
適合率という業界の体温計
もうひとつ、検定通過ニュースと一緒に押さえておくと面白いのが適合率です。
保通協は型式試験の適合率を月次で公表しています。この数字は「メーカーが出した申請のうち、どれくらいが基準をクリアしたか」を示します。適合率が低い時期は、メーカーが規制の境界を攻めて跳ね返されている時期。適合率が上がってくれば、基準に沿った設計が定着してきた時期と読めます。
直近の推移はこうです。
| 時期 | パチンコ | パチスロ |
|---|---|---|
| 2025年8月 | 17.3% | 9.0% |
| 2026年6月 | 27.6% | 14.3% |
| 2026年7月 | 23.8% | 5.7% |
※保通協単独の数字。他の指定試験機関を含めた合算では2026年7月がパチンコ24.4%・パチスロ8.1%
目を引くのが2026年7月のパチスロ5.7%です。申請数そのものが3ヶ月ぶりに一桁台まで落ち込み、そのうえ適合率も大きく悪化しました。申請を絞ってなお通らない——業界紙もこの月を悪化として扱っています。約18台に1台しか通らない計算で、パチンコの4台に1台とは水準がまるで違います。
つまり適合率は、業界がいま規制に対してどういう位置にいるかの体温計です。「最近の新台が大人しい」といった体感の裏付けを探すときに、この数字が手がかりになります。近年はコンプリート発生率を基準にした自主回収ルールのように、試験を通った後の実績値まで縛る仕組みも加わっており、スペックの自由度は多方面から狭められています。
検定は3年で切れる
もうひとつ押さえておきたいのが、検定には有効期間があることです。検定の有効期間は3年で、切れた台はそのままでは設置し続けられません。その後に「認定」を取れば最長でさらに3年——という仕組みで、ここが撤去期限の話につながります。
検定通過は入口、検定切れは出口。両端を押さえると台の寿命が読めます。出口側の詳しい仕組みはパチンコ・パチスロの撤去期限とはで解説しています。
検定通過を自分で追うには
継続的に追いたい場合、無料で読める媒体だけで足ります。専門紙の有料購読は不要です。
| 媒体 | 特徴 |
|---|---|
| ぱちんこキュレーション | 「新台パチンコスロット検定通過型式一覧」を継続更新。型式名ベースで一覧性が高い |
| ぱちんこ情報島 | 検定通過情報を随時掲載 |
| パチンコビレッジ | 業界ニュースの中で検定通過を扱う |
| グリーンべると | 業界紙系。適合率など数字まわりが強い |
| DMMぱちタウン | 新台情報と合わせて追える |
ただし保通協の一次資料そのものはWeb上で見つけにくいのが実情です。公表されるのは月次の集計値で、機種名は前述のとおり各媒体の取材によります。数字を確かめたいときは、複数の媒体で同じ値が出ているかを見るのが現実的な検証方法になります。
なお、検定通過から実際の導入までどれくらいかかるのかは【解析待ち】です。「半年くらい」という説明を業界解説で見かけますが、これは開発完了を起点にした話で、検定通過日を起点にした統計は公表されていません。同様に、検定を通ったのにお蔵入りした型式の具体例も、まとまった形では公表されていません。
まとめ
- 関門は2つ。型式試験(保通協)=適合 → 検定(公安委員会)=検定通過。設置できるのは検定通過後
- 保通協が公表するのは数だけ。機種名は業界メディアの取材ベースで、型式名のまま報じられることが多く正式名称とは限らない(「L/バジリスクⅣXB」→「Lバジリスク-甲賀忍法帖-Ⅳ」)
- 検定を通ってもホールに並ばない台がある。当サイトのカレンダーにも検定通過済みで導入日未定の機種が2つある
- 打ち手にとっての価値は時間の先取り。ただしスペックは出ないので、立ち回りは変わらない
- 適合率は業界の体温計。2026年7月のパチスロは5.7%(約18台に1台)で、申請数・適合率とも悪化した
- 検定の有効期間は3年。入口が検定通過、出口が検定切れ・認定
検定通過や噂の段階から導入日が固まるまでの流れは、新台カレンダーで確度ラベル付きに整理しています。試験の中身そのものは保通協の型式試験を解剖した記事へどうぞ。
